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2013年10月

2013/10/25

医療情報技術者検定試験

8月に受験していた、医療情報技術者検定試験の合格通知が届きました。認定証はもう少しあとで届くようです。

医療情報技術者検定試験とは日本医療情報学会が実施している検定試験で、免許などではありませんのでこれがないとできない仕事があるというものではありません。試験は、情報処理技術、医学・医療、医療情報システムの3科目からなっており、全てに合格すると認定されます。毎年5000人くらいが受験して1500人くらいが合格、合格率30%強程度ですので、まぁまぁ難しいほうの検定試験ということになっているようです。

日本医療情報学会 医療情報技師育成部会のページ (http://www.jami.jp/hcit/HCIT_SITES/index.php)

しばらく前に会社の中でヘルスケア関連システムの部署に異動になり、そこでは取得を奨励していたので受けてみました。

受けてみての感想ですが、コンピュータ関連の仕事を長年していれば、情報処理科目はたいして難しくはないでしょう。ちょっと分野がデータベースと統計解析に偏っている印象はありますが。
医学・医療科目と医療情報システムはさすがに事前の受験勉強が必要です。そうはいっても、健康保険の制度や生活習慣病に関する問題は、長年生きていればあちこちで目にしたり聞いたりしたことのある単語がほとんどですから、勉強すれば頭に入ってくると思います。
医療情報システム科目のうちの何割かは、システム開発の要件分析・要件定義や運用テストの進め方のようなプロジェクトマネージメント的な設問ですので、SE経験が長ければ、そこそこ解答できると思います。

私の受験勉強は、過去問題集を買って解いただけです。過去問題集とはいっても直近3年間分には解説もついていますので、まずは解いてみて、採点して、わからなかった問題、自信のなかった問題の解説を読むだけでした。

認定の有効期間は5年間で、5年間の間に学会の主催するセミナーなど受けてポイントを貯めないと更新できません。生涯勉強が必要というのは理解できるのですが、ポイントを貯めるにも受講料とかかかるのが難点ですね。

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2013/10/16

ゲーデルの完全性定理と不完全性定理

ゲーデルの不完全性定理をもっと理解しやすい本がないかと、「ゲーデルの世界 完全性定理と不完全性定理」廣瀬 健・横瀬 一正(海鳴社)ISBN4-87525-106-8 C1041 を買いました。


本書中の不完全性定理の説明は、ゲーデルのオリジナル論文とは異なり、対象となる体系はプリンキピア・マテマティカの型理論をベースとした体系Pではなく、和と積が定義された自然数の体系Nとなっており、また、ゲーデル数への基本記号の割り当ても(当然ながら)異なっています。両方を同時に読むと混乱するでしょうが、一方を理解してから他方を読むと、より理解が深まるのではないかと思います。

付録にはゲーデルの原論文の翻訳も載っていますが、記号や式の表現は現代の標準的な記法に書き換えられており、林 晋・八杉 満利子の本の翻訳よりも、普通の人にはこちらのほうがとっつきやすいと思います。


また、 第1章 ゲーデルの生涯 と 第2章 集合論とパラドックス で、当時の数学史的背景の記述がありますが、林 晋・八杉 満利子の本に比べるとあっさりとしています。

総じていえば、ゲーデルの不完全性定理そのものについて知りたいならば廣瀬 健・横瀬 一正の本のほうが向いており、林 晋・八杉 満利子の本はゲーデルの不完全性定理が生まれ出た数学史的背景を理解するのに向いている、と言えそうです。


また、この本では、副題のとおり、完全性定理についても取り上げられています。まだ全然理解できていませんが、この本を何度か読み込んでいけば、理解できたような気になれるのではないかと思います。ゲーデルの原論文(の翻訳)も、不完全性定理よりも技巧的な部分が少ないような感じです。

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2013/10/05

ゲーデルの不完全性定理

このブログも放置して1年以上たっていました。

昨年から今年にかけては、息子の就職活動、卒業、就職、おまけに結婚。娘の大学受験、入学と非常に慌ただしく気苦労の絶えない日々で、ブログを書くという気持ちの余裕がなかったようです。
またぼちぼちと再開していきます。


ゲーデルの不完全性定理といえば、(数学以外の分野において特に)誤った理解と使われ方をすることが多いようです。私も独学で勉強して、なんとか理解できそうな気分にまでたたどり着きました。まぁ、単なる思い込みとか勘違いの可能性も高いのですが。

いろいろと書籍も買いましたが、最終的に一番読んだのが、岩波文庫の「ゲーデル 不完全性定理 (林晋/八杉満利子 訳・解説) ISBN4-00-339441-0」 です。文庫本なのでカバンに入れておいてもかさばりませんし、スーツの上着のポケットにも入ります。書評はあちこちにありますが、総じて評価も高いようです。ゲーデルの不完全性定理の原論文の日本語訳と、その背景となった数学史的解説、および論文そのものの数学的解説という構成となっています。

最初に論文の日本語訳を読んだ(読もうとした)時にはまったく理解不能でした。数学史的解説部分も自分にあまりにも知識が少なすぎるため理解できませんでしたが、文章が読みやすいことと、当時の数学界の人間関係などあたかも小説を読んでいるようにスラスラと読めました。

全体を5回くらい読んだ頃に「100回くらい読めば、分かった気になれるかも」と思えるようになり、その後100回とまではいきませんが、もう20回か30回くらい読んでいるでしょうか。いまは、ゲーデルの論文の6割か7割ぐらい理解できたかなと思い(込んでい)ます。

アマゾンの購入履歴を確認したら、2011年10月4日に注文していましたので、ちょうど2年経っています。2年間、諦めもせず数十回も読めたというのは、それだけでも良い本なのでしょう。

ただ、ゲーデルの論文の日本語訳は、当時の原論文を忠実に訳してあるだけなので、現代的な論理学の標準的な記法と異なっており、かなり読みにくいです。例えば、「任意のxについてRである」は、現代的標準的記法では、 ∀xR と書くところを、デーデルの論文では xΠR と書いているとか。内容の難しさ以前に、このような点でかなり躓きました。

また、用語や記法が論文の場所によって変わったりもします。上記の「任意のxについて命題Rがなりたつ」をあるところでは単に (x)R と書かれたり、また"~ "記号は体系Pの中では否定記号ですが、別の場所では同値を表す記号になったりしています。ある程度理解できるようになってくると、用語や記法が違うのは、違う概念レベルの議論の時(体系Pについての議論と、数論的議論と、超数学的議論のような)ということがわかってくるのですが、最初は混乱しまくりました。

ゲーデルの原論文を日本語訳しているだけなので、訳者の林さん、八杉さんの責任ではないでしょう。

不完全性定理に対する私の理解度(ただし、自己評価による)はどの程度かというと、ゲーデルの論文の定理Ⅴまでは理解したつもりです。定理Ⅴの証明はゲーデルの論文では「帰納法の仮定から困難なく証明できる」としか書いてなくて、自分としては「直感的にはそうだろうと思える」という理解していなくて、本当に証明してみたわけではありません。
そういえば定理Ⅳの証明の理解もちょっと妖しいかも。ちゃんと紙とペンを使って追いかければいいのでしょうけど、電車の中で頭で追っかけただけなので。
再帰的関数の定義1~45(p31~p39)は一つ一つ追いかけていきました。このあたりは通勤中の読書では理解不能で、参照関係をExcelの表に作ったりもしました。

思い出したのでここで書いときますが、この定義1~45の記法がバラバラで理解を妨げてくれます。
例えば、定義21の Op(x,y,z) は、「ゲーデル数x,y,zを引数とし論理値を返す関数」と考えられます。一方、定義24の v Geb n,x も「ゲーデル数xとv、および数nを引数として、論理値を返す関数」と見なせます。このように関数を前置記法で書いたり、中置記法(しかも3変数のうち、一つを前に、残り二つを後ろに)で書いたり。

定理Ⅵは、かなり技巧的でまだ十分に理解できていませんが、(8.1)の式が対角線論法を使っている部分なんでしょうね。

定理Ⅶの証明も技巧的ですよね。特に、補題1の「任意の自然数列fと、任意の自然数kに対して、fの先頭k個の要素をn,dという二つの自然数で代表させることができるような対応をつくることができる(そして、作っている)」(かなり意訳)は、脱帽ものです。(数論やっている人には当たり前なんでしょうか)


残り3~4割も頑張って(楽しんで)理解しようと思います。

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